千歌(部室に入ろうとしたらなんか2人が変な話してるのだ……)

千歌(せんうたって、千歌のこと……？だよね？)

千歌(昔小学生の頃とか間違えてそう呼ばれたことあったなあ、そういえば)

千歌(なんなんだろ？)


曜「それじゃ、ルールはいつも通りでいい？」

梨子「いいわよ、東日本ルールね？」

曜「勝ちポイントは？」

梨子「3ポイント先取で」

曜「おっけー、じゃあいくよ？」

梨子「…………」

曜「…………」

曜「『寝る前にアイスを食べちゃって夜中お腹が痛くて目が覚める』！」

梨子「せんうた～」

曜「せんうた～」


千歌(…………)

千歌(意味分かんねえのだ…………)

梨子「くぅー！流石曜ちゃん！いいとこ突いてくるね！」

曜「今のは割とナイスせんうたじゃない？」

梨子「まあ、そこそこね」

曜「お」

曜「なに梨子ちゃん自信マンマンだね～」

梨子「ふふふ、今日は勝てるわよ？」

曜「ようし」

曜「じゃあこい！」

梨子「…………」

曜「…………」

梨子「『冷凍みかんが口の中に張り付いちゃって半べそかく』！」

曜「せんうた～」

梨子「せんうた～」


千歌(なんじゃそりゃ……)

千歌(……え、あれ千歌のこと言ってるの？)

千歌(みかんとか言ってたけど)

千歌(……そもそも『せんうたゲーム』ってなんなのだぁ！？)

千歌(何を競ってるのアレ……)


梨子「えへへ、どうかしら！」

曜「う～ん……でも今のちょっとギリギリだったよ？」

梨子「え、本当！？」

曜「甘めに採点した節はある」

曜「オフェンスがちょっと足りない」


千歌(オフェンス！？)


梨子「むむむ……認定受けてる曜ちゃんが言うんだから認めざるを得ないかあ……」


千歌(認定！？なんの！？)

曜「あ、ちょっと待って」

梨子「ん？」

曜「次私の番だから身体ほぐしとかないと」ｲｯﾁﾆ ｻﾝｼ

梨子「あー、つりそうなの？」

曜「ん。足とかね」

曜「梨子ちゃんもアキレス腱伸ばしといたら？」

梨子「ふふっ、私は湿布貼ってあるから平気よ」

曜「おー、なに～！？さては今日は初めからやる気マンマンだったんだね～！？」

梨子「対策はバッチリ！」


千歌(一つも理解できねぇのだ……)

曜「ようし」

曜「じゃいくよ？」

梨子「…………」

曜「…………」

曜「『電子マネーの使い方がよく分からなくてレジであたふたして後ろが混んでしまう』！」

梨子「せんうた～」

曜「たうんせ～」

梨子「……ッ！リバーシブル！」

曜「ひっくり返せば？」

梨子「せんうた～」

曜「…………」

梨子「…………」

曜「……あー！やられたかあ！」


千歌(はあ！？)

千歌「…………」ｽｯｽｯｽｯ

千歌「…………」ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

千歌「……あ、もしもし果南ちゃん？今どこ？教室？」ﾋｿﾋｿ

千歌「ごめーん……ちょっと悪いんだけど……今すぐ部室向かってくれない？うん、お願い」

千歌「中に曜ちゃんと梨子ちゃんいると思うから、会話に混ざってみてくれないかな？」

千歌「……はい、はーい。よろしくねー」ﾋﾟｯ

千歌「これでよし……と」


曜「まずいなー、これで梨子ちゃんがリーチかぁ」

梨子「次勝てば3ポイントね」

曜「そう上手くはいかないよ！」

梨子「じゃ、私がオフェンスだからね」

曜「オフェンスの方が有利だからな～」

梨子「…………」

曜「…………」

梨子「……『バク転が上達しすぎて2連続でバク転できるようになってしまう』！」

曜「せんう……あっ！」

梨子「はいざんねーん！」

梨子「今のは『千歌』でしたー！」

曜「くー……！まさかそうくるとは……！」

梨子「えっへっへー、これで私が3ポイントね！」

曜「情けない……認定まで受けてる私が……」

梨子「ま、言っても私も有段者だし？」

曜「ぐぬぬ……」


千歌(や、やっぱり意味分からない……)

千歌(というか今『千歌』って言ってた！やっぱりあれ千歌のこと言ってる遊びだったんだ！)

千歌(……なんとかしてあの謎の遊びの正体を突き止めてやるのだ……)

千歌(そのために……あっ！来た！向こうの入口から……)


果南「おー二人とも！何してんの？」

曜「あっ、果南ちゃん」

果南「なんか随分楽しそうだったね」

梨子「果南さんもやる？」

曜「いま梨子ちゃんと遊んでたんだよ」

果南「へー」ﾁﾗｯ

果南(あそこで千歌が覗いてる……？よく分かんないけど、この遊びに混じればいいんだね？)

果南「やるやる！なんの遊び？」

曜「『せんうたゲーム』だよ！」

果南「…………はい？」

梨子「『せんうたゲーム』。知らない？」

果南「え、知らないけど……」

曜「あれー？おっかしいなー。果南ちゃんも幼馴染なのに……知らなかったっけ？」

果南「なにそれ？千歌のこと？」

曜「そうだよ！」

梨子「Aqoursでは私と曜ちゃんと鞠莉さんとルビィちゃんも知ってるの」

果南「えぇ……初耳なんだけど」

梨子「あー、あと聖良さんも知ってるわね。何回かこっち来たときやってるはず」

果南「なにしてんの聖良……」

千歌「……？ありゃりゃ」

千歌「果南ちゃんが来て2人ともちょっと動いたせいで……よく聞こえなくなっちゃった」

千歌「うーん、うーん……！もうちょっと近付けばハッキリ聞こえるんだけどなあ……！でもそれだとバレちゃうし……！」

千歌「仕方ない、聞くより見て様子を伺うのだ」ﾋｮｲｯ


果南「……で、そのよく分からない謎のゲームはどうやって遊ぶものなの？」

梨子「あー……えっとね」

梨子「ねえねえ、曜ちゃん。果南さんにどっち教えたらいいかな？東日本？西日本？」

曜「西日本でいいんじゃない？東日本ルールは今やっちゃったし、次は西日本ルールでやりたいもんね」

果南「東西で分かれてるの！？」

曜「あ」

曜「でも西日本やるなら、ホラ！」

梨子「トランプ、でしょ？」ｻｯ

曜「あ、用意してあるんだ！」

梨子「ふふ、言ったでしょ？やる気マンマンだって」

果南「トランプ使うの！？」

曜「じゃあさっそくルール説明するよ～？まあ、そんなに難しくないから果南ちゃんなら1度で理解できるはず！」

果南「まあ、聞くだけ聞いてみるよ」

梨子「えっとね、まず最初は……」


千歌「なに話してるのだ～……？」


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曜「はい山札からめくって……はい！」

梨子「あっ、スペードのエース！」

果南「よっしチャンス！じゃあいくよ！！」

果南「『とっくにサンタの正体知ってるけどクリスマスはなんとなく未だに靴下を枕元に置いている』！！」

曜「せんうた～」

梨子「せんうた～」

果南「えっと、スペードのエースってことは……？」

曜「これで『役』が揃ったね」

果南「よーし！」

梨子「うわー！まずいまずい！」


千歌(なんでノリノリなの果南ちゃん！)

果南「いやー！楽しいじゃんこのゲーム！」

曜「でしょ！？」

果南「人生ゲームとかモノポリーよりこれやる方が何倍も楽しいって！」

梨子「人狼みたいな感覚でできるしねー」

曜「あ、ところで果南ちゃん。今揃った役は？結局なんだったの？」

果南「えーっと……」

果南「『ひゃくうた』『まんうた』『おくうた』に……『せんうた』だから」

梨子「タンヤオね」

曜「タンヤオかあ」

果南「タンヤオなんだね」

梨子「待って、ドラ乗ってない？」

曜「あ、確かに」

果南「おっ！てことは……？」

曜「『せんたう』もできるよ！」

果南「これもう私勝っちゃうじゃん……」

梨子「果南さん飲み込み早すぎです！」

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曜「いやー、西日本ルールはてんでダメだな～、私」

梨子「結局果南さんの圧勝で終わっちゃったわね」

果南「でも『せんうた』と『千歌』の区別はなかなか難しいよね」

曜「そこが奥深いんだよ、このゲームは」

梨子「今度はルビィちゃんと鞠莉ちゃんも一緒にやりたいわね」

曜「ついでだし皆にもそろそろこのゲーム布教していいんじゃない？」

梨子「確かに」

梨子「……あ、でも大人数だと西日本ルールはできないわよ？東日本ルールじゃないと」

果南「東日本ルールはどんな感じなの？」

曜「簡単だよ、西日本ルールからトランプによる役を抜くだけ」

果南「え、シンプルだね」

曜「元々東日本ルールが先だからね、西日本ルールは後からできたやつだし」

梨子「西日本ルールの方はややこしいって批判も多いのよね」

曜「じゃあ試しにやってみよっか」

果南「ま、聞いた限りできそうだね！」

梨子「よーし！じゃあ順番は私から時計回りで！3ポイント制ね！」


ﾜｲﾜｲ ｷｬｯｷｬ


千歌(むむむ……果南ちゃんなんなのだ……？すっかり取り込まれちゃってえ……)ﾋｮｲ

千歌(そーっとそーっと……気付かれないように近付いて……)ｿﾛｰﾘ

千歌(あ！この距離なら聞こえる！)

千歌(曜ちゃん達ってばたまに意味分かんないことしてるんだから！えーっと……なになに……？)


曜「せんうた～」

梨子「せんうた～」

果南「よしじゃあ次は曜の番！」

曜「『かくれんぼが下手でどこに隠れてるかバレバレ』！」


千歌「！」


果南「あっ」

曜「？どしたの果南ちゃん」

果南「……え、あ。いやなんでも……」

曜「今のは？」

果南「あ、えーと」

果南「せ、せんうた～」

梨子「せんうた～」

曜「よっしゃ！」

曜「じゃあ次梨子ちゃんの番！」


千歌(びっくりしたあ……)ﾄﾞｷﾄﾞｷ

梨子「えーっと、えーっとね……」

曜「長考は減点ポイントだよ梨子ちゃん」

果南(さ、さっきの……偶然だよね……)

梨子「……よし、じゃあ！」

梨子「『ドキドキしてる時は胸に手を当てて深呼吸する』！」


千歌「！」ﾋﾞｸｩ!

千歌(いま……してた……)


果南「そ、それは……」

果南「せんうた～……？」

曜「うーん、私的には」

曜「……今のは『千歌』かな～？」

曜「ね？『千歌』ちゃん。だよね？ね？」


千歌(こ、こ、こ……！)

千歌(こわあ～～～！！！)ﾋﾞｸﾋﾞｸﾋﾞｸ

梨子「そっかー。今のは『せんうた』じゃないのね」

曜「うん、ドンマイドンマイ！」

果南「……」

果南(軽はずみに参加したゲームだったけど……)

曜「じゃあ次はナイスせんうた目指して頑張ろう！」

梨子「ええ、せんうた～」

曜「せんうた～」

果南(思ったより……うん。怖いな……)

梨子「せんうた～」

曜「せんうた～」

曜「…………」ﾁﾗｯ


曜＆梨子「せんうた～」


千歌(ひいいいいいぃぃぃぃ！！！)


果南(まあ楽しいからいいや)

果南「せんうた～」

おしまい。

せんうたゲームってなんだよ

せんうた～

ちかおじたちの国の国技

県大会で腕と足を負傷して大会出られなかったのを思い出すわ

昔よくやったわ

懐かしいな、あと少しで県大会行けたのに

草

おらも意味わかんねぇのだ